真実

絵描きのあの娘の選んだ場所は

奇妙にねじれた木が一本と桜の樹が一本あるだけの

何も無い所でした

あの娘がこの世に別れを告げた場所は

海が見えるわけでなく、街並みが見渡せるわけでもない

取り留めののない空き地でした。

ひなびた坂の道の脇

絵にノもならない空き地でした。

誰もが見過ごしそうなそんな所で

あの娘は逝ってしまいました。

取り留めなさが真実でした。

理由のなさが真実でした。